作演出 瀬戸山美咲(ミナモザ)
ザ・スズナリ 10月17〜24日
2018/10/22 19時〜 観劇
徴兵が行われている未来もしくはパラレル世界の日本。
戦争が終わり帰国してきた二人の男女の物語。
戦争が題材の舞台は正直苦手で、その作品が「骨太な戦争作品」であればあるほどより疲れてしまう。
だが、本作は絶妙なバランスで戦争を扱っており、物語最後は爽やかながらいやーな気持ち悪さを感じる素晴らしい終わり方だった。
基本的には帰還した男女二人の物語が軸であり、断片的に二人の家族の物語が入ってくる。
なので、戦争を扱っていながらも戦争中の場面や血生臭は最低限の表現になっており、一見、家族ドラマや青春ドラマかと思う場面もちらほら。
そして、そのさわやかな日常と非現実的な戦争の過去が絶妙に気持ち悪く、楽しめた。
例えば、戦争で車椅子生活となった青年が大学で女性と出会い、明らかに恋の始まりのような展開を見せる。
しかし、アル中だった彼は彼女に良いより気持ち悪がられてしまう。
女性も、帰還後スーパーで普通に働くのだが、睡眠導入剤の過剰摂取でカウンセリングにかかり、カウンセリング後も戦争に行くと言い出す。
その間の唯一の友人であった同じ舞台の女性も、実際は死んでおり彼女の生み出した幻覚だと知る。
このように、日常に戻るが結局、戦争での異常な環境とのギャップで苦しむ若者たち。
見ていてふと思ったのが、エヴァンゲリオンっぽいなとふと思った。
徴兵された若い子達は武力を持って戦争に行き帰ってくる。
その中で、描かれる日常の様子が少しエヴァ的な、シンジやアスカの心の不安定さと被ってみえた。
家庭や大学、恋愛などしながらすぐ外には戦いがあり、戦争がある。
そして、近未来感や、登場人物達の日常。それが新第三東京市のように感じられ面白かった。
正当な楽しみ方では無いだろうがそう見えてしまったのなら仕方ない。、
主役の男性も、いかにも主役っぽかったし。
また、最後、帰還した女性は病気を受け入れお見合い相手と会うのだが、
そこで和やかに友達から始めようと話し、お互いに笑い合う。
ああ、良かったなぁ〜と思ってた矢先に飛行機の音。
また彼らと同じように戦地へ向かう若者達の飛行機の音。
暗転。
この場面で鳥肌がたった。
完全に不意を突かれ気持ち悪くイヤーな気持ちになった。
初めて舞台で感じる嫌悪感で、それも楽しめた。
瀬戸山さんは、バランスが非常に上手だと思う。
政治的な作品のように見せて、さまざまな要素をバランスよく取り入れ、最終的にはエンタメとして仕上げる。
どこが優れてるといって特出するところはわからないが、
安定して楽しめるかつ、しっぽりと良い作品に会えたと思わせてくれる。
彼らの敵も非常に面白かったし。
なんだか、絶妙な人だなと思った。
それではまぁまた。
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